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ねむるまえに

「明日いる?」


と聞かれたら好きになるからやめてほしい、嘘、やめないで。



閉店作業をしながら、なにかペットを飼ってるかという話題になった。

「私犬飼ってたよ、死んじゃったけど」と言ったら、

高校生の男の子が「ぼく犬種当てます!」と言ってきた。


家の犬は雑種だった。


「犬種?…当ててもいいけどたぶんその質問じゃ一生当たらないよ」

「えっそんなマイナーなんですか?」


と色々あったがたぶん当たらないので「雑種だよ!!!」と言い放った。

するとびっくり、雑種がなにかいまいち分かっていないのだ。

「最近はミックスっていうらしいよ」と伝えると「ああ!」と納得していた。

驚きである。家の周りの犬はほとんどが雑種だった。みんな死んでいるが。


小さいころから犬が飼いたくて、一軒家に引っ越してから犬を飼ってもらった。近所で生まれた子犬を引き取ったのだ。太っている子が良いらしいと聞いていたので一番丸々としている子を引き取った。その体つきから丸っこい名前を付けた。


母犬も茶色い雑種だ。父犬はどこの馬の骨か分からない。

馬ではなく確実に犬だが、母犬が散歩していたか脱走したときに子を授かって帰ってきたからどこの犬か誰も知らないのだ。

子犬たちがクリーム色や白だったので、きっと父犬は白い犬だったのだろう。絵の具みたいなものだ。

家の犬はクリーム色で、耳と尻尾だけ少し茶色だった。耳は食べたくなるくらい可愛かった。


ミックスと雑種だったら雑種の方が似合う犬だった。愛想はあんまり無かったけど「ただいま」と「おかえり」は必ず小屋から出てきて匂いを嗅いでくれた。

最後を看取ったのも私だ。

飲み会で遅くなった私を待っていてくれたように、撫でながら眠った。

死んだときはよく分からなかった。人間のように心臓が止まったら「ピー」となる機械も付けていないし、声も出さないので、あれ?息してない?あれ?もしかして死んだ?という感じだった。

振り返ると深い息を繰り返しているうちに亡くなったと思う。

午前二時くらいだったので、家族に「死んじゃったかもしれない」と起こしに行って、みんなが揃ってから実感して涙が出た。

15年も生きたので、最後の方は徘徊するように同じ場所をぐるぐる回っていた。目も見えないので色んな所にぶつかっていた。少し面白かった。

でも、最後眠る日の夜まで、ご飯は毎日食べ続けた。なんとも食い意地のはった犬だった。


あの時丸々太った子を引き取って良かったと心から思った。


若者よ、雑種はかわいいぞ!